後日談・・・
エーハイム2235型パワーフィルターの重要な手入れポイント

(実は、これが今回の事件の真相です)
 
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清掃から10日後、清掃したフィルターの通水量が減少しました。
そして、インペラに再び振動が起こりました。
振動は、インペラ交換前のような酷いものではありませんでした。
しかし、その状態を放置するなら、磨耗して早くインペラを損傷してしまう可能性が高いでしょう。
 
再び分解。
ろ材内の微生物はまだそれほど多くなく、閉塞する状態ではありませんでした。
原因は、吸い込み側のホース内の詰まりと判明。ホースを清掃して回復しました。
 
吸い込みホースには、水槽の汚れを多く含んだ水が通ります。
吸い込み側のホースは汚れやすく目詰まりしやすく、要注意です。
 
私は、遠心力方式のポンプは管路の閉塞で壊れるようなトラブルが生じることは無いと、今まで思っていました。
それは遠心力方式のポンプが下の図のような仕組みだからです。
 
 
羽(インペラ)はケーシング内で水を回します。
回された水は遠心力によりケース壁面に垂直に力を受けます。
これは外へ向かう力でもあります。
 
そして水は、ケーシングの無い部分である水の出口(吐出口)で、
遠心力により外へと吐き出されます。
 
もし出口を閉ざせば、水はケーシング内で回るだけとなります。
入り口を塞いでも、やはり水は中で回るだけに見えます。
 
 
 
軸と軸受けが金属でできた堅牢なポンプでは、多少詰まっても壊れるケースは見たことがありませんでした。
 
ではエーハイム2235で起こった振動について考察します。
 
このポンプも遠心力でくみ上げます。
 
吸い込みホースが目詰まりすると、インペラがポンプケーシング内の水をいくら回転させても吐出は減ります。
しかし、このポンプの最大揚程は1.8mなので、インペラが回転していれば0.18kg/cm2の圧力でケーシング内の水を吐出しようとしているはずです。
 
この圧力で、ポンプはケーシングの外へ水を吐き出すという仕事をしようとするのですが、水が吸い込めないのでケーシング内が減圧状態となります。
 
水中でインペラ等高速で動いているものの、周りに急激に減圧状態が発生すると、水中に溶け込んだ空気などが溶け切れなくなって気泡を発生します。
そして、突然その気泡がはじけて消失する現象が起きます。
すなわちキャビテーションです。
キャビテーションが発生すると、気泡が出来たり消失したりする時に、局部的に体積が大きく瞬時に変化して、フィルターを通過する水の流れに脈動を生じインペラ周りに今回のような振動が生じると考えることができます。
キャビテーションは、船のスクリューの様な、水中で高速に回転するモノの周りに発生してそれを酷く痛めます。
 
「吸い込みホースの詰まり」は、エーハイム2235のインペラ周りに振動を発生させ機器を痛める大きな原因と結論します。
異音がないから大丈夫という問題ではありません。
異音がなくてもキャビテーションが起こってインペラを痛めてしまっていることがあるということを理解しておく必要があると考えます。
 
これは、ろ材からの空気の絡みより注意が必要なことだと思います。
インペラの清掃を控えることより重要です。
 
吐出が詰まった場合は、ケースシング内で水が回っているだけとなります。減圧にはなりません。
0.18kg/cm2の圧力はケーシングを外に向かって押すことに殆どのエネルギーが消費され、水の分子の摩擦熱で少々温度が上昇するだけとなることでしょう。
前者の様な大事になることは殆どないと思います。
 
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